小さな勇者たちへ。


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”始めて”の出来事に遭遇すると、無意識に私は息子を思い出すことが多かった。

 

始めてやること、始めて通る道、どんなことをされるかわからない歯医者さんでの治療・・

 

大人になっても不安という感情が消え去ることはない。

成長するにしたがって、対処の仕方を知ったり、準備の為に使ったり、力に変えたり、不安という感情の扱い方を経験的に学んでいく。

 

 

先日、私はコロナウイルスのワクチン接種を受けてきた。

集団接種の会場に向かう道中、『接種して体に予期せぬことが起きたらイヤだな』そんな小さな不安が心にわいたのを察知した。

既に接種した人達から伝わってきた副反応くらいは出るのかもしれないけど、大丈夫だろうと、不安がそれ以上広がることはなく、その感情は消滅していった。

 

 

赤信号で車を停止させた時、歩道にいた、小さい子どもとお母さんの姿が目に入った。その様子をぼんやり眺めていると、さっきの些細な不安に連動してなのか、ふと、思考が飛び火した。

 

 

小さい息子のことがイメージの中に現れ、

『さっき私の心にわいた不安は、今の息子だったらどう感じたのかな・・。やっぱり怖いのかな・・泣いちゃうのかな・・そもそも注射自体が恐怖なんだろうな・・』

 

 

そんなことが頭の中に浮かんできた。

 

 

小さい体で。

 

いっぱい考えて。

 

怖い・・怖い・・怖い・・怖い全開の顔して。

 

やってみたけどやっぱり怖かったから、わんわん泣いて。

 

でも終わった後、挑んだ自分がなんか誇らしかった。

 

・・そんな風にして、あの子も大っきくなっていくのかな。

 

 

みんな、小さなことを一つ一つ経験していろんなことができるようになっていく。

あの歩道の男の子も、息子も。そして私もそうやってここまできた。

しかも、それらはひとりで乗り越えなければいけないのだ。勇気を使って。

 

 

そんなことをぼんやり考えていた。

 

 

『乗り越えるときはひとり』確かにそうだ。

誰かに相談しようが、やり方を教わろうが、支えてくれる人がいようが、乗り越える時は”ひとり”なのだ。

 

『勇気を使って、ひとりで乗り越える』

そこから、生きていく上で避けては通れないキーワードでもある”孤独”というものと、”勇気”というものに思考は流れていった。

 

 

 

・・・私は、自分がその時やりたいことを、やらずにはいられない子どもだった。

ひとりになるのは寂しい、でもやりたい。そんな思いを行き来しながら思ったことをやっていたように思う。

 

 

そのせいもあって、孤立することは日常で、その基本的な行動パターンは今でも変わってはいない。

 

 

例えば、スノースクート

バイクや自転車が好きだったこともあり、”雪が降っても乗れる二輪車”を探していた。インターネットでスノースクートのことを知り、動画にハマった。

それまで10年以上続けていたスノーボードをやめ、ある日、完全に乗り換えた。スノーボードをやる連れはいたが、スノースクートに乗り換えてからは初心者。練習はいつも1人になった。

 

 

周りにはやってる人が1人もおらず、ショップの人達に聞いた滑り方のアドバイスと、少ないながら販売されていたDVDで頭の中にイメージがこびりつくまで毎日見ては週末1人でスキー場に出向き練習した。

 

 

ここでもやっぱり孤独だった。正直、仲間が欲しかった。これで合ってるのかなんて全然わからないし、何より寂しかった(笑)

 

 

それでも続けていると、何とか形になっていくものだ。

 

 

始めてから今年で8年がたつ。

今では現地に着くと、誰かしら知った顔に会って、一緒に滑ることも多い。

 

 

周囲でやってる人がいない事を継続するのはなかなか骨がおれる。

 

 

できんし、寂しいし、スノーボードみんな楽しそうだし、やめよかな、、など、仲間がいたら考える必要のないこととも向き合わないといけなくなる。

 

 

もしかしたら、私の息子も、『これをやる!』は楽しいのに寂しいな・・だから、みんなといたら寂しくないから、みんなと同じでいる!でも、つまんないな・・のふたつを、ふわふわ行き来して、みんなに合わせたり、、そんな状況で悩んじゃうこともあるのかもしれないね。

 

 

だけど、大丈夫だよね。乗り越えるためのやり方。君はもう、そのやり方を既に知ってる。

 

勇気の使い方だってちゃんともう備わってる。

 

 

もし、それを感じられなくなったり、周囲の音に気が散って自分の力を信じることができなくなったりした時は話をしようね。

 

 

この世は、みんなが勇者。

 

 

向き合おうとするもの、乗り越えようとする事の大小や、高い低いなど断じて関係ない。

自分に備わっているものを信じ、勇気を手に一歩を踏み出す者は、みんな勇者だ。

 

 

あなたも、わたしも。

 

 

そんな全ての勇者たちに敬意を贈りたい。